災害に強い家を建てよう！家づくりのポイントや確認すべきこと
いざ新居を建てるときは、災害対策を考慮して土地を選びましょう。また、家の構造も重要です。日本は台風や地震といった天災が多いので、十分な耐久力のある家を建てなければ、大きな被害を受ける可能性も高くなってしまいます。この記事では、リスクを抑えるために必要な土地の選び方や家づくりのコツについて解説していきます。
災害時のリスクと災害別の家づくりのポイント
日本では、いろいろな災害に遭遇する可能性があります。そのため、家づくりの段階で災害対策を施すことは必須です。なお、家づくりで重視しなければならない内容は災害ごとにポイントが異なります。以下、災害によって考えられるリスクと対策を種類別に紹介していきます。
地震
#考えられる被害
さまざまな災害の中でも地震は予兆なしに起きるため、危険性が非常に大きいといえます。構造や素材が強力な家を建てたとしても、地盤が揺らいでしまっては被害を防げません。いわゆる「地盤沈下」が起こり、家が土台から倒壊してしまうことも。また、急激に強い揺れが加わることで、家の柱や壁が壊れてしまうケースもあります。
#しっかりした地盤を選ぶ
地震対策では地盤選びが重要なポイントです。地盤がしっかりした土地を見極めることこそが安全な暮らしの礎となるでしょう。国土交通省の「重ねるハザードマップ」を参考にすれば、地域ごとの地盤の状態がおおよそ確認できます。たとえば、宅地造成地の地盤は十分に固まっていない場合もあり、沈下するリスクがあるかもしれません。ただ、資料の内容は地域の災害対策の状況によって変わっていく場合もあるので、絶対的なものではありません。家を建てる前に実地で地盤調査をすることは不可欠です。
#シンプルな設計を心がける
耐震性の高い住宅とはつまり、「シンプルな構造」です。上下左右、いかなる方向からの力にも耐えられるので、揺れの種類に関係なく受け流せます。反対に、複雑な構造の住宅はどうしても弱点が生まれてしまいます。地震の際に、家の一部が耐えられないとそこから損壊が発生することもあるのでバランスを考えて設計しましょう。そのほか、「オーバーハング」といって、階下の一部に柱や壁がない構造も耐震の面からは危険です。オーバーハングにはスペースを有効活用できるメリットがあるものの、地震対策を考えるならできる限り避けましょう。
津波
#家ごと押し流されることも
沿岸地方では、津波の被害も珍しくありません。津波が恐ろしいのは、一瞬で街ごと飲み込んでしまうこともある点です。2011年の東日本大震災のように、いくつもの町や村が壊滅的な被害を受けるケースもないとはいえません。浸水や損傷が起こる程度ならまだしも、巨大な津波になれば家ごとさらわれてしまうリスクもあります。海の近くに住む場合、「ここに津波が来たことはない」という油断は禁物です。「万が一」という気持ちを持って対策を練りましょう。
#土地選びが大切
まずは各自治体ごとのハザードマップを確認しながら、安全なエリアに家を建てることが大切です。ハザードマップには津波被害が起こる確率も反映されています。また、そもそも沿岸部で低い位置にある場所に家を建てるのは避けましょう。なるべく高台に家を建てることで甚大な被害からは逃れやすくなります。
#家を津波から守る工夫
そのうえで、「もしも津波が起きたら」と想定し、家づくりを考えていきます。かなり浸水する可能性があるのなら、高台を設けてそのうえに家を建てなくてはなりません。防水性の高い塀で家を囲むのもひとつの方法です。そして、家そのものの構造で工夫したいのが「床下の隙間」です。床下に空洞部分があると、そこに津波が流れ込んできます。そして、水の浮力に耐えきれなくなり家ごと押し流される可能性が高まります。床下の隙間を極力減らすことによって、水が入り込む余地はなくなり流されにくくなるのです。
台風
#複合的な被害が起こりやすい
直接的には、屋根や窓が破壊されたり、雨漏りが起こったりすることが多いでしょう。ただし、台風が恐ろしいのは複合的な被害に発展しやすい点です。たとえば、風で飛ばされたガラスで誰かがケガをすることもあるかもしれません。家の一部が吹き飛ばされてしまうと、そこから倒壊してしまうリスクも出てくるでしょう。また、台風と大雨が同時に起こり、水害や土砂崩れを招くケースも少なくないのです。
#土地選びのポイント
暴風に対して、地盤が強い土地に家を建てることは対策の基本です。建材自体が丈夫でも、地盤がゆるいと家は倒壊しやすくなります。また、過去の災害の事例を調べることも土地選びのポイントになります。台風被害が頻出している地域に家を建てるのは避け、なるべく被災したことの少ないエリアを探しましょう。
#頑丈な建物にするコツ
台風対策では「隙間をなくす」ことを念頭に置きましょう。壁に少しでも隙間があると、そこから台風の被害が広がっていきかねません。特に、窓の周りはもろくなるケースが多く、家の設計時から注意が必要です。また、強い風で屋根が飛ばされてしまうのも台風被害でよく見られる光景です。こうした事態を防ぐには、屋根を風害に耐えられる工法で固定しなくてはなりません。そのほか、雨漏り対策として屋根に防水シートをほどこす方法もあります。家を建てる前に、これらの暴風対策をどこまでしてもらえるのか業者と相談しましょう。
洪水
#水害の一種
堤防の決壊や内水氾濫などの理由で、洪水は引き起こされます。川の水が住宅街へなだれこんできた結果、浸水や損壊などの被害が広がるでしょう。また、土石流などの被害に発展することも珍しくありません。洪水は大きな水害の中でも、比較的身近に起こりえる災害です。ふだんは穏やかに見える川も、大雨などで氾濫して、危険な存在になることもあるのです。
#ハザードマップを確認
洪水の被害が甚大になりやすいエリアは、ハザードマップを見ればわかります。ハザードマップは危険性によって色分けがなされており、自然災害を避けられる土地をリサーチしたいときに最適です。もちろん、不動産業者に聞けば、ある程度の情報は教えてくれるでしょう。しかし、不動産業者の優先事項は「物件を売る」ことにあるので、ネガティブな情報を積極的に公開してはくれません。家主自身で土地の状況を調べておくことが肝心なのです。
#基礎部分を高くする
家を支える基礎部分が浸水してしまうと、洪水の被害は大きくなります。そこで、基礎をできるだけ高く設けるのが洪水対策のポイントとなるでしょう。そのためには、床の下に「型枠」と呼ばれるコンクリートの土台を設置し、家を高い位置で建設しなくてはなりません。ただ、型枠の強度、設置方法などによって洪水への耐久力はまったく変わってきます。型枠を扱いなれている技術力の高い業者を見つけられるかどうかが大切なポイントになるでしょう。
強い地盤をみつけよう！ハザードマップの活用について
#災害エリアと被害頻度を表す
ここまでハザードマップの重要性について言及してきました。具体的に、ハザードマップとは災害の場所と被害頻度を予測している地図のことです。もしも災害が起きたとき、広がるであろう範囲をマップ上で示しています。
#ハザードマップの種類
災害別の被害を予測するうえで、ハザードマップは役立ちます。たとえば、「洪水」「内水」などについては、浸水の深刻さがハザードマップに反映されています。「土砂災害」の頻度や、被害を予測するときにも利用可能です。次に、「高潮」「津波」の被害の目安としてもハザードマップをチェックしてみましょう。ハザードマップを見れば、沿岸部がどれほど津波の脅威にさらされているのかを確認できます。そして、ハザードマップは「火山」対策にも使えます。日本には活火山も多いので、近くに家を建てるときは目を通しておきましょう。
#ハザードマップの見方
災害の種別にかかわらず、「エリアによって色分けがなされている」という基本は変わりません。そして、色が濃くなるほど、災害の被害が深刻になることを表します。逆に、色の薄い地域は災害の事例が少なく、比較的安全に暮らせることを意味します。また、土砂災害や地震のハザードマップを見ると、地盤の強い土地を探しやすくなるでしょう。これらの災害があまり起こっていないというデータは、地盤が強くて建築物が損壊した経歴がなかったことを意味するからです。
地盤だけでなく、災害に強い家を建てるには？
#構造計算によって耐久性を数値化
大前提として、地盤の強い土地に家を建てることは大切です。しかし、地盤だけでは頑丈な家になりません。耐震性や構造まで考慮してようやく、さまざまな災害に負けない家が完成します。そのためには、基盤となる「構造計算」が大切です。構造計算では、建材や地盤、デザインなどを踏まえて理論的に家の耐久性を算出します。家づくりの基礎を築くために、とても重要なプロセスとなるでしょう。ただし、すべての業者が十分な構造計算を行っているわけではありません。家づくりの際には、さまざまな災害対策を考慮した十分な構造計算ができる業者を選ぶことが大事だといえます。
#欠かせない3つの性能
家づくりでは「耐震性」「断熱性」「気密性」を押さえなければなりません。耐震性とは、地震の揺れに対する強度のことです。建材が丈夫でも、構造がもろくては耐震性が高いとはいえません。大地震が来ても被害を最小限に食い止められるような構造を業者に相談しましょう。次に、耐熱性とは外気の温度を室内に侵入させないような機能を意味します。近隣で火災による温度上昇や吹雪などによる気温の低下が起こったとき、安全が確保されるかどうかは耐熱性にかかっています。そして、外部との遮断性がどの程度保たれているかが「気密性」です。気密性が高いと、洪水や津波によって、水がなだれこんでくることもある程度防げます。浸水したり、押し流されたりする可能性が減ります。特に、沿岸部の家では無視できない性能です。
まとめ
「地盤ネット」では、住宅地盤に関するさまざまなご相談に対応し、地盤特性を踏まえた家づくりを実践しております。地盤は、安全な家づくりを目指すうえで非常に重要なポイントです。地盤に不安がある土地を選んでしまうと、どれほど建材や構造を工夫しても災害に強い家を建てることはできません。まずはお気軽に、地盤ネットまでご連絡ください。
