ジバングー JIBANGOO

見晴らしはいいかも…でもあぶない高台、擁壁(ようへき)って?

見晴らしはいいかも…でもあぶない高台、擁壁(ようへき)って?

はじめに

6月29日、大阪市西成区で、住宅の崩落事故がありました。
ニュースをご覧になってびっくりした方も多いですよね。

このたびの事故により被災された皆様ならびにそのご家族の皆様に
心よりお見舞い申し上げます。

今回は、この現場のような高低差のある敷地で多く見られる「擁壁」のお話です。

「擁壁」とは

「擁壁」とは

よう‐へき【擁壁】デジタル大辞泉より
土木工事で、土を切り取った崖や盛り土を保持するための壁状の築造物。かこい壁。

写真のような建造物が擁壁です。
坂や崖の途中でよくみかけますね。
今回の大阪西成の住宅の下にも擁壁がありました。

注意したい擁壁の上の物件

注意したい擁壁の上の物件

擁壁が安全かどうかは、以下のようなチェックシートで確認できます。
「我が家の擁壁チェックシート」
https://www.mlit.go.jp/crd/web/jogen/check.htm

見た目からは、こんな擁壁には注意するといいでしょう。

①増し積み擁壁
写真のような違う種類の擁壁が二段積みになっているものです。
設計時に想定されていない力が加わることにより、
崩壊等の可能性が高くなります。

②水抜き孔(あな)は適切か
雨水などが適切に排出されない場合、擁壁に想定以上の圧力がかかり
危険です。
擁壁の表面の水抜き孔は適切に設置されているか、
孔内に異物などが詰まっていないかなど確認しましょう。
擁壁表面に、ひび割れがあり、水がしみ出しているような擁壁は
注意が必要です。

③安息角(あんそくかく)は取れているか
安息角は、何もしないで崩れない角度のことです。
土質や切土・盛土にもよって角度は異なりますが30度で考えます。

大阪西成の現場をみると、航空写真からは、庭はなくすぐにがけ地に見えます。
つまり、限りなくゼロ距離。
30度ならば、仮に5Mの高低差なら距離は約8.7M必要になります。

また、自治体によってはがけ条例があり、2M以上の高低差なら、倍以上の距離が必要で、
5Mのがけならば10Mの距離が必要です。

そのため、地盤が固い台地・山地でも地盤の改良工事ををして、
支持層までの鋼管杭を打って、安全を確保することになっています。

眺めがいいから、と選んだ物件が事故に遭ったり、
さらに擁壁下へ被害が及んで責任を取ることになったらいやですよね。

でもプロの建築家が建てたんだし、不動産屋さんが売ってくれたから「安全」なはず・・・
でしょうか?

こんな思い込みに注意

・危険な土地は法律で建築や居住が禁止されるはず。法律で建築や居住が禁止されていない土地が危険な訳がない。
・危険な土地が売買される訳がない。
・毎年のように災害のニュースは見るが被災者は運が悪い。事故は不運と考える。
・土地選びの要件は,起こらないかもしれない災害リスクよりも、利便性、周辺環境、価格を優先したい。

リスクの高い土地は説明義務がありますが、それを承諾して購入し、所有すれば、何かあったときには土地を買った人の「自己責任」になります。
見晴らしのいい物件だなと思ったら、擁壁のチェックポイントを確認してみてください。

住宅地の相談ならジバングーカウンターへどうぞ

住宅・不動産・地盤の専門家が、土地が安全かどうか、地盤や立地から総合的にスクリーニングしてご相談にのれます。
不安な場所は当然ですが、安全な場所も思わぬリスクがないか、専門家の目でチェックします。土地選びの際はご活用ください。

ご相談はこちらから
https://jibangoosite.jp/contact

全ての記事をみる